POEM 7

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夜毎の鵺 草を食む 素朴に
ディー・エフ 無法者 たまには
蚯蚓の目 の化け時 私は何を
黄色い花 紫雲番鳥 生まれた日々の草笛に
おすくり いつの日か 猛き風
胸に住む猫 テレビを捨てて頬杖突いて から から から と
万年晴日 バス ストップ 愛の姿
何してる 笑う人形 烏と一緒に
TO YOU 恥ずかしくない 遍 路
ちゅーりっぷ 見知らぬ人 ロックオフ

夜毎の鵺
yogoto no nue

逃げ場を求めても 低くしか 飛べない
夢なんだと 呟きながら
私は 夜毎 何から逃げるのだろう

角の鰻屋のところ
表通りの化粧品店
ひそやかな 香りのところ
羽ばたきは 虚しく 闇をたたく
郊外に立ち昇るのは
あれは
記憶を弔う幾筋もの煙


草を食む
kusa o hamu

ぽかーんと 抜けた空の下
慈愛に満ちた 草を噛みながら
過去を 明日を 悔やみはしない
今日の分を いただけば 充分で
借りても 貯めても 身にならぬ
5cmあれば 大きな虫で
300Kgでは 小さな馬に 過ぎない


素朴に
soboku ni

飾らないところにしか
宿らない魂もある
じわっとのんびり 歩くとき
足のことなど 忘れてる
美醜に 澄濁に
好悪と 有無は
くっきり 素朴に 貼り付いて
いつでも どこでも 主張せぬ


ディー・エフ
the dragon fly

レジを打つアルバイト少年の願いは
赤いトンボになって
秋空に舞うことで
ポキポキ と 腰の骨音立てながら
曽祖父に似てると云っては
いつも頭を撫でてくれた
祖父の家近くの川の上を
三角形に飛翔することだ
コワレテイル クラスメイトと
カオガ サカサノ ハッピーファミリー ゴッコ から
悠然と垂直に飛び上がる
その予感的快感に胸が騒いでいた


無法者
muhou mono

アウトローには日活の匂いと
イタリア映画のルビがついている
テロリストなかなか
ニヒリズムにも行き着けぬのに
それでも 負のヒーローは
幼心にモノクロの焼印を押した
神社があると手を合わせ
高いところに行きたがる
その吸水管に彼が住みついたようです
きょう
山上の水神やしろで 出会った婆が
私に向って手を合わす
私も 然りと て を返す
この無法者の
極上のとき


たまには
tamaniwa

風が強いと気が滅入る
海が荒れると寂しい感じ
夜毎に飲んで 捨て去る物が
巡り帰って グラスに凍る
たまには しらふで バスを待ち
あの終点で 釦を押そう
コストのことや 利益のことを
まじめに 語る罰当たり
素敵は 素敵 辞書引かず
身投げの名所のラジカセで
何故だかバッハの目盛りをあげて
供養の真似をして帰る


蚯蚓の目
mimizu no me

身を徒に 引き伸ばし
その先を凝視する心持
千切れていくのは 頭か尻か
破壊に到る その日まで
痛みを信じて 闇を掘り
頭を打っては 右に左に首を振る
旗翻る ゴールはないし
その都度 ごとに 行く手を変えて
己サイズの 跡 振り返る


狐の化け時
kitsune no bakedoki

長い銀線 陽が照り映える
紅傘押し立て 偉そうに
子供の白狐が 先をとる
綾の錦の欄干は
日の入り前に 溶けまする
ようよう 姫が出でる頃
殿はおねむに なりまして
麻布の坂の 中ごろに
衛視が ひとつ抜けました
少うし ぎょれつが進んだら
豆ふやに 化けて 油らげ売りぬ


私は何を
watashiwa naniwo

パン食い競争の パン嫌い
賞状の 冒頭がモット嫌
だからといって 誉められたくもなかったし
僻(ひが)みの眇(すが)めに異ならず
電波で云えば差別語で
私が言えば 牽かれの小唄
いいご で 姿が変わるなら
せんそは とっくに しまってる
私は何を するだろう
姑息に ドウゾの藪中に
小便垂れて 帰るだけ
だって 自分は傷つき難い
いじめは 誰かの 署名付き?


黄色い花
kiiroi hana

となりの子猫は良く泣く子猫

耳掻き一杯の薬を 起き抜けに飲み
油菜の花を 見に行こう

まだ私が生きていなかった頃の
履歴を 風が 脇に抱き
よしよし よしよし と
囁きながら 駆けていくに違いない

土と 石くれの路は
黄色い花に よく似合う
少し湿れば
もっと いい


紫 雲 番 鳥
shi un tsugai no tori
 

それらは 互いに 惹かれあい求め合う
例え姿は 悲しかろうと
乱れ羽の 内なるものの密度こそは と
言葉とともに 蒸散するこの日の挑みは
また 縁を巡りながらも 戻り来るとか


生まれた日々の草笛に
umareta hibino kusabueni

抱いてくれたこともない 父の 愛情を
解かったと いうと 化けて出るに違いない
そう
病院から彼の骸を 軽のライトバンで おじと 運んだ
あの一月の 乾いた寒さは覚えている

酒も匂わず 殴りもしない
その安堵に依存して はじめて 目が濡れた
演じなくても よくなった
一親等の 小別れの夜
もしかすると アルイハ
コノヒトハ チチダッタ ノ
すぐに 耳川の橋を渡った
 
芋の畑 かの金木犀
窓の少ない すいーとほーむ
身に覚えないのに 私には
そのひとに愛された 記憶の欠片が
かしこに 残っている

誰の為に生きるのか
不明な 私は
一生懸命に 生きることが まだ腑に落ちないままなのに
口切れるほどの草が
春一番に
ひよーっと 鳴くのを
今年も 聞いた


おすくり
osukuri

舌ッ足らずの幼子が
「おすくり おすくり」と
何で飲むのか 意味も知らないで
ご褒美みたいに
はしゃいで いたのが おもしろい
そんなふうに疑わないで
おすくり のように
受け入れて
効き目も何も
後のことなど
気にせずに
いれたら いいね


いつの日か
itsuno hika

蝶になり
花の上を舞いながら
水のきれいな ふるさとに
いつの日か 帰ります
待ってる人は いないけど
そうじゃない そんなことはない
いっぱい 愛が 変わらずに
私のことを 待ちつづけてる
山の小川や 裏山に
両手を広げて
いるのです


猛き風
takeki kaze

命の綱が ち切れるよりも
かそかな 想いの その糸の
頼りないのが 辛いです
もっとも
そうではありません
もともと 定めと するならば
強き風にも 怯えない
その糸さえも 嬉しいものです
やがては 出会い さよならの
あることこそが 常だから
なんだか
胸が痛むのも
あの縁側でお茶を飲む
そのとき 耳が哀しみに ひとときググと鳴るでしょう
それこそ それが 大事だと
知りつつ 云わぬで 花を待つ
この 交じり合う 愛しきことを
2年を越して ようように
伝えて過ぎる
春の 風


胸に住む猫
muneni sumu neco

そう そうして ヨットの風のように
時の任せで 舵替えてます
そんなこんなの 生きること
間が合わないと
「にゃあ」ときて
追い詰められると
「みゅう」と鳴く
しんよも たのみも 失いまして
おのれ まかせに 吹かれます
愛していますの 神通力は
六度も七度も ありません

幾年の のちの
風景を
見せたい人は 去りました
会いたい 人は もう いない
だから
こんなに強くなり
生きていかねばなりません
わたしこそは と 信じつつ


テレビを捨てて頬杖突いて
telebi o sutete hozue tsuite

窓に汚れがついている
カーテンを引くと 淋しい部屋なので
聞かない 見ないと 決めましたなら
たいそう 時間が残ります
だから
頬杖突いて 風見るのです
こんな ときには 狂った時計が まっとうです
知ってる人に 会いたいん
優しい人を 好いてるん
マウスが尻尾を切ったとしても
期待はずれの夜なので
見ないテレビの 画面を拭いて
熱いポットの 頭を拭い そうそう電話もならぬなら
さて
何をする 煙草吸い
 次は今度の 頬杖ね


から から から と
kara kara kara to

わらって過ぎる 宵の風
いじめて 走る 夜半の音
だから からから
一所懸命 眠ります

乾いた それが 耳につき
焼酎2合を お湯で割り
飲んでは 幾夜を 流離って
だから からから
40年の寝不足を
どうして どこから 盗もうか


万年晴日
mannen harebi

野放図に この世を暮らすのも
いいんじゃないかな
誰にも迷惑を かけ続け
たいてい 陰では 嫌がられるのに
面と向かえば 相手が 愛想するんだ
それは理想の 脳天気快適生活に違いない

「誰が こうしましたか?」

<政府です 国です 偉い人です>
<なんたって最悪は 隣の人かもね>

とりあえずに 云っとけば
誰も 文句を 言わないもん
先のことなら 子供にツケて
虐待なんかしてないぞ が
とっても偉いことだから

子供の時代は 大変よ
センソにならなきゃ よいけれど
でも とりあえず いまいちの ダイエット
エステの予約にダンスの稽古
私が 良ければ いいんじゃない

きっと 明日も
よーい天気が 続きます


 バス停
 bus  stop

河が見える
何十年も 変わらないように 流れている
マフラーを巻き 手袋に コートを纏い
私は バスを 待っていた
なんでもないのに
涙がこぼれそうになるのは そんな とき
思い出のためでなく
身の淋しさのことでなく
河は河を続けている
それが 私にとって
嬉しいのか 哀しいのかも わからない
ただ 悠久 の二文字は 常に側にあって
花が 去り 鳥が行き
雪は帰り 月はまた昇る
そんな頃には ほとんど 私は
どこで降りたいのかを
忘れているのだ


愛の姿
aino sugata

血のつながりと 世の見栄に
尽くす形も 良いですね
それらを 惰性といっては 酷だもの
育ったそれらが姿を作る 常識 常識 悪かない
ただ 逝くときの その日には
なべてを 捨てねばなりません
いい違いなく いえたなら
すてきな 記憶の ト書きには
挨拶だけが 残ります
あの おはようと
その さようなら
お帰り 只今
やあ 元気


何してる
nanishiteru

信じるものに 生きてきて
やっぱり いつも 遊んでる
甘えや あそびが 罪ならば
返す返すも 残念だ
What are you doing?
「PLAY」
神が居るなら
それなりに
神と遊んで戯れて
いつも 彼らのせいにして
一神教にはなりきれず
祈りの強さは負けませず
許すことなら 一番の
ただの 夕餉を食べている
わからないよな
何かのしるしが
コキンコキンと ドア前の
閉めると 開けるを 弄ぶ


笑う人形
warau ningyo

鮮やかに 心の中に はためく幟は
泣き笑いの色で綾に染めてある
かつて まだ乾かぬうちは それとして
この頃では 軽やかに はためいて
そっちに触れ こっちに触わり
懐かしき かさぶたを愛とおしむ
過去・未来 どっちにしても
遠いところを眺める習性の
人形の呟きがする


烏と一緒に
karasuto isshoni

遊び疲れた 夕焼けに
堤の上から 父が呼ぶ
風呂焚け 飯焚け はよ帰れ
小鮒を掬った堰の横
畦道回って いそいそと
残照のうちに 帰りましょ
も少しちょっとが 心に残り
いじめた あのこも 気にかかるけど
烏と一緒に
帰りましょ


TO YOU
トー ヨー

じーんと 耳の奥に
私の愚かが 響いてきます
憎みテ 余りは ありますが
ただ 無作法な骨太頭には 疲れます
小枝で いけない わけはないのに
そこには 居場所がありません
小枝の 先がないならば
幹だけ太って 葉も付けず
花のち 実など ありもせぬ
根のある ことも 全然忘れて
あなたは どこに
立ってるの?
 To you 東洋
とーよー
ねえ 見たかった夢の続き
救わなくては ならぬのは
つくづく
I を忘れた AS Aのことでしたか


恥ずかしくない
hazukashiku nai

間違いは なんだろう
間違いには 意図が無い
意図があったら 刃になる
刃になったら 切らずにおれぬ
この病って 矛盾 を 盾矛に しなければ
未来永劫 直らない
守るも 厚くなりすぎたなら
重さに耐えきれず すぐに矛になるから
順序も あんまり あてには ならない
殺さない 争わぬ
認める 愛する
恥ずかしくないのは 多いのに
ごまかす ことが 花芽を摘むね


遍 路
henro

未来に向かうかのような その道が
昔日に帰る路であったと気付いても
誰も 戻ることは出来ません
幾度も折れた 何処かの路地で
振り返れば過去 行けども過去の
迷子のように なっていた
でも 怒らないで よく考えて
そっち側が明るいと 思うのは
確かなことですか

捩れて 拡がる 輪のような
遍路の木陰で 思うこと


ちゅーりっぷ
turip

八彩を大地に描きまくる その花は
きっと柔軟な 根を持っていることだろう
見る機会が なければ 存在しないと定義される
そんな勝手な 一方的な約束の世に
頓着もなく 自分を開くなら それはとてもクールだ
キュービックでも あるいは ダイヤだろうが
見かけは 何んにも変わらない
説明されて 欲しくなるのを 見栄という
理非なしに 求めることを 欲と言う
欲と見栄とが 取り違えられて
真に肩身が狭くなって
 良くないような 世になった
花はいつだってそのままで
虫だか蜂だか 誘わない
生きたいように咲きたいから
枯れない限り そこにいる


見知らぬ人
mishiranu hito

街角で すれ違う
身も知らぬ人が 気になる
姿かたちでなく これという理由もない
まさに たそがれの いっとき
それは 私の血が 今より薄い頃の
親しい知人なのだろうか
ただ なんとなく
人恋しいだけの夕暮れか


ロックオフ
lock off

その位置が全てですか
誤りを持ち越さないと
君が 立場を守るなら
君は
今の 位相を 図に示せるのですか
記述をあえて 技術に拘るとしたら
先送りは 許されません

あるいは この日の
慰めを
奇妙な果実に なぞらうの
あなたを
吊るす人は いないのに
自ら 縊る 勇気があるの
明日を 見るのは
あなたの今夜の決意だけ
さあ 鍵を 捨てよう
覗きの窓を
見る前に こそ
あなたの 青を焼くのです


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