POEM 10
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樹上に停まって
on the
treetop
小枝を集めて巣を築くのに失敗をした
容姿の奇妙な鳥が
左の足を畳んで脛に当て
余裕のように 世間を見下ろして
希望と言う灯りを捜しているのも滑稽さ
大きな空を飛翔する
それだけで 充足していた若い頃に
捕われ者に成り果てて
見知らぬ土地に運ばれて
ゆえなく生きて来たのだと
グチー グチー と喚いている
遠い旅
the long good
bye
重き荷を降ろして新たに
一歩を踏み出す春もある
貧しい暮らしに打ちひしがれて
傍目にはかわいそうな男の子だったが
土地と家族の呪縛に放されて
あるいは自由を得たのかも知れない
残した心があったとすれば
海より山に吹きぬける
一瞬の風の匂いでは ありました
ねぇねぇ
does it
hear?
鯵や鰯を売り歩く
貧しいけれど逞しい
海の匂いのする人たちの
いらんかねーの声がして
一睡の夢を閉じました
舌の記憶は ところを移し
胸の辺りに居を構え
さらさら ちょいちょい 顔を出す
甘えてもいいですか?
障子を蹴っては駄々捏ねた
連れて行かれぬデパートに
ほんとうは
欲しい物など無かったの
母さんの側に居たかった
昭和残人伝
survival
皮肉なのは いつも歴史には
卑近が疎まれている事実
修復は早いほうがいいのに
逆転地層のように
昭和も縄文より古くなり
葬送の曲を待つだけになる
生きながら魂魄悲惨を留めし
戦士達は 実に昨年
世紀の遺物と成り果てて終わりぬ
抱きしめて
hugs
あっち こっちと選ばずに
全部一緒に抱きしめてくれますか
醜いところが多いけど
それも私の一部です
雨に晒して 日に干して
ちょっとは疲れて 居はしても
それもハートの皺と傷
何かの拍子に驚いて
ぴとん と 肩に停まる君
その癖が 大好きでした
余 花
remaining
on
大雨に大風で 盛りを過ぎた花が
アスファルトにくるくる回って流れている
その名を称えた者たちは もう通り過ぎたので
最後を看取ることはない
嵐が去った 明日の晴天に
おそらく余りの花々が
風に葬送と和すことだろう
少し食後に懺悔して
confession
決心はそんなに大きな意志ではない
些細な選択のことを掛け軸にするようなもので
意趣をなすとブーメランして還るし
原罪を負担に生きれば
利子も返せぬ ていたらく
食事のあとに 日を繰れば
たいがいの ことは 許せてる
憎むな 残すな 懺悔してもう少し
他を責めずに 己の鼓舞のところを叩け
そうして ついに
あれも これもが 幸せだったと思えたら
きっと命を愛してる
愛しているのが わかるのは
生きたセピアが まず虹色に光るよ
彼女の自由
her
liberty
愛していても 愛されいても
それって なーに 解からない
だから 人っていいんだね
宇宙は彼女の意志だから
何人かかっても曲がらない
二度目に生きる ものではなくて
一度っきりの 微笑が あなたの隅に
ありますように
いつか少しは私のことを
思い出すなら
笑顔の私でありますように
極 致
acme
さすがの陽気も長続きしない頃
私は 遠く置き去りにした日々を
にわかに眼前にして うろたえていた
兎の踏みしめた道を いまさら辿り
このひねくれた 身体と心で
あの杜をくぐれるはずもないというのに
人は常に何かに至り そこから零れ
すぐにまた どこかに 至ろうとする
その極に触れては 凍傷を負いながら
百夜百灯
burning of my
house
居場所のない者は
夜が辛いだろうねぇ
九千回目の点灯は
何乗の哀しみを運んだのだろう
それほど祈り
これほど願っても
叶わないのは
その資格がないからですか
明日は笑って
it will
smile
泣き顔見せたら かっこが良くない
それで無理して笑っていたら
鏡の私が拗ねている
あんまりだ ほんとの 笑顔を忘れそう
ごめんね ごめんね 幾度でも
詫びております この通り
しっかり心入れ替えて
明日は笑って
会いましょう
マーク
mark
大きなミスを蹴り上げて
自ら マーク! と叫んだら
四面そこらで笑われたようであります
結構 本気だったのですが
ルールには逆らえない
抱えた球が例え丸でも 楕円でも
独りじゃとても運べない
走り始めた いつからか
ルールが勝手に変わっていても
とても ひとりじゃ 行き着けない
ハーブ園にて
the herb
yard
ハーブの中を 陽気に誘われて
いっとき 風になってしまいました
ロケットは花を終え
ステビアはまだ 芽を吹かず
ミントの類いは元気 元気
周りを水の早苗に囲まれて
ちょっと小高い 畑では
脇役たちが主役のように
大いに土を乾かしていたのです
向こうの小山の雑木では
今年生まれの鶯が
上手に鳴いておりました
獏の見る夢
dream of the
tapir
もしもだよ 生まれ代わって
何かひとつを許されるなら
私は バクを飼いたいな
夜毎のそれを 餌にして
悪いとこから 抜けたいな
それでも悲しみ尽きぬなら
バクの見る夢
食べてもあげる
それでなくては
可哀相
思い出たちに手を振れば
i
tell remembrance of the
farewell
顕微鏡で見たミジンコに心惹かれたのは
小学生の頃
いのち のことを考えたっけ
それは
見えないところに 懸命に生きているものたちだった
それにしても
生まれて来なければ と ぜいたくを言う
ひとって 不遜な輩
まして
やからの真中に僕がいて
心の真から 愚痴ってたのは確か
愉快に 平和に バイバイ と
思い出たちに 手を振れば
いま双眸に それらが泳ぐ
おやすみなさい
good
night
愛されていると感じることは少ないのに
それはたまに いつでも他所からやってきて
そっくり 私の胸の血に住んで
私の愚かを殴り続ける
ねえ
呼んでも 答えぬ その意味を
求めてはいけない
一瞬の出会いのときに
相手の大事は良くわかる
そうして最後もよく判る
人がいったい 誰の為に泣くだろう
ね
自分にお休み言うために
部屋の明かりを落すだけ
百万回の
ありがとうを
毎夜の闇に誓うだけで
それが嘘ならあしたの朝まで眠れないのだから
ただ 誓って
絶望の果てに切るスイッチだけは無いと思うよ
だから
明日ね
雨に濡れた子猫に出遭ったら
やあ 君はここにいたのと
声をかけて
あっちこっち
here
and
there
野菜販売所 工芸品
道の駅とか 何だか寄って見たくなる
お寺や神社 古跡に遺跡
それらも 見過ごす事しない
あれって よっぽど身が無いからの衝動
寄り道ばっかで 遊んでた
だから どうとか いわないの
あっちこっちと 楽しめて
文句を言っては悔いになる
身過ぎ世過ぎが下手なんですから
目前の好きが
案外正し
そうするうちに
真にも会える
その差
difference
どうしてこんなに似ているのかな
と
嗜好や 価値が似ていると
思わず自分を託してしまう
そんなで 時を過ごしていたら
祈りが
カリカリ弾みに引っかかるようになります
その差が
実は人なのでした
夢でも 希望の明日でもなくて
心の端の小さな珠の
許容は
実はとっても大きいものでしたのに
ことばのいのち
the
word
目に耳に指で 六感にさえ
言葉は柔らかく身を変えて
いつでも間を 生きている
時には飾り
あるいは嘘にも使われるけど
言葉の命の大事さは
形になろうとする直前の
意志のこと
泣いて笑って喧嘩して
It cries,
laughs and
quarrels.
思い出ロードの風の詩
あの日 その日の 大笑い
甘えはいつか 諍いにもなったけれど
喧嘩の後に 仲良くなれば
事態は前より よろしくて
泣いて 笑って
許してばかり
ショートカット
short
cut
近道ばっかり探してる
早くあなたに 届きたくて
それでも これは危ないけれど 楽しいもの
狂おしい 夜を誰かに真似て吠えてる私
壊れるの 血も流れるわ
直前までの残り香と
温もりの残る椅子に キスしたい
ねえ 恋って そんな感じの 気がするよ
肉を食べ 蚊を殺し
いのちを大事と言ったって
説得力に 欠けるもの
short
cut is so
difficult
何故なのかな 不思議だね
あなたを愛して それからは
見えるものが何だって
嫌いになっていないんだ
生きるべきか
to
be
意味を教えてくれませんか
窒息しているのです
翼もないのに 飛べと強要され
どこかを溶接しなくちゃの
そんなところにいます
ラジオから
ウイークエンドジャムと
叫ぶのですが それを
ああ 幸せな人が聞いているのだな
と 否定しているのは
絶対 私では ありません ただの耳です
とりあえず
立ち位置を 示してもらえたら
たぶん
立派に化けてもいいです
至上の詩情
celestial
poetry
何の花 白い花弁が幾片か
黄昏ホリゾントに舞って行く
未練の香りも残さないで
なんと儚くて ゆかしい情景だろう
風のままに 比重を失い
欠片どうしで交差しながら 頷きあって
また 会えたら いいね
と いうようだ
涙のぶんだけ
quantity of
tears
誰の為とか 言い訳せずに
泣きたい時には そうするの
頬が乾いていくときに
嫌な自分が逝くようだから
迷子はマイゴで当てがあるけど
帰れるお家の無い子には
泣くことさえも 出来ないよ
人はいつでも温もりだけを求めてる
涙の数を数えても
ほんとに さみしいだけなのに
涙のぶんだけ 爽やかな
明日がきっと あるからね
枕の窪み
hollow of the
pillow
いかにも重たい苦悩が
主のいない枕の窪みに残っている
つかのまの休息にも
夢と一緒に浮遊せず
夜毎に抱えていたんだろう
さあ もう 孤独の闇は去った
陽射しの中に
君を放せ
迷 走
The
wandering
〜偉大なるアーチストに捧ぐ〜
すべての未来に疲れ果て
死に場を探して迷い込む
六畳ほどの居酒屋で
葱間をツマミに また飲んで
肩を組み合う夜があった
嬉しくて 悲しくて せつなくたって
見知らぬ人が 酔っては騒ぎ
あほう あほーと 浴びては 飲むと
惨めが消える 酒もある
男はこの世に迷い込み
身の丈ほどの 輪の中で
爪も見るけど 星も見る
きっちり ほどほど 晩酌2合
何かが来るのを待っていて
いい人だったと 偲ばれたなら
上等の肴に なりゃしない
誰だって ひとを憎まずに生きたいよ
苦しみのない果てを求めて
やわらかに なぞりたいのは
コップが描いた 跡の輪さ
のろま兎
gawky
rabbit
感性とかイメージで決め付けるのは
そうね とても 良くありりません
跳ねるの蚤も違うよね
這い這いクジも いけません
よろよろの 老いぼれ犬もごめんなさい
ここに 一匹 兎が生まれ
異様に のろまで不恰好
跳んだり ずったり 転げると
母は あま噛みしてくれて
そのまま愛してくれました
あんまり子供に気遣うて
ぽっくり そっくり 先だって
おいでおいでと
まだ招く
誰かの時代
times of
someone
自ら必要としたのか それとも予め 決まりが
彼を必要としたのか
その答えは
たぶん
永遠に やって来ないけど
言えるのは
今だけは そこだけは
そっくり そのまま
彼の物だから
持って行くなら ご自由に
気持ちだけなら
誰も惜しむ人はありますまい
歯を食いしばっても
どれほど泣いても
時代には縋れる身体の持ち合わせが
ない という
恐れていたのは
やっぱり見栄であったのだ
了解したのは なんと 空であった
良く降りました
rainy
day
久しぶりに1日中窓辺で
外を眺めて過ごしました
こんなに ゆったりと雨を
見つめたのは初めてかもしれません
雨もしっかり 良く降りました
ありがとう と 愛してるが
心地よく響く宵です
色褪せぬ為に
color became
thin
すでに 痛みは去り
愛しい記憶の断片が
幾つも幾つも 浮かんで去る
今は立て 行動せよ
人はどうしても 一度
誕生以前に向かわなくてはならない
暗黒の未知の世に
生まれる時の恐怖は記憶にないが
おそらく違いなく これだろう
生まれた家は あれは確か
グリーンの名の付く
仮の宿だった
それが たとえ襤褸でも 安くても
頂いた翼には 意味がある
雲の間に沈む あの 赤い夕日は
すべてのものが色を失う直前の美だった と
いま 気付いたけれど
陽はまた沈む
sunset
嫌われつづけた幼子も
やがては海にいだかれて
知らず異郷に運ばれる
揺られてしばし 立ち上がり
そろりと 人となりぬれば
違う違うと母を恋う
恋うて近くの裾握り
お前は誰と また捨てられて
それでも そうして そうならば
慕うたほどだけ 阿呆に育つ
落ち逝く 海の陽に添うて
愛されつづけた 少年は
懐かしく繰り返す 波の声を聞く
ねぇ まだ生きられる
Your
price
死神はなかなか離れない
しつこいったら ありあゃしない
何度も何度も やってくる
だから
どっかが 固まってると
あいつは決して許さないようだ
ねぇ
ほんとに 死ねる?
ほんとに真から残念ないの?
充分そんなに苦しんだなら
自分をもいちど許そうよ
首輪まで作った人が言ってるんだから
「
君は絶対そんなに安くないよって 」
謝 辞
Thanks
〜しばしの別れ〜
何だかんだと ありまして
いつかは辛いさよならが
誰のもとにも やってくる
悲壮なバイバイ嫌だから
笑顔笑顔で 手を振るね
お願いだから恨まずに
悩む事なら思い切り
とことこ悩んでみれば済む
そして涙が枯れたなら
生き切るまでに生きようね
あなたが呉れた優しさが
こんなに強くしてくれたもの
時々叱って貰った その意味は
あなたの 願いでありまして
ぴりぴり ひりひり 沁みたけど
万能薬と知っていて
私は しっかり飲みました
愛してもらった君だから
どこかで いつか 会えるよね
ロープ
The
rope
自信を失うのが結果というなら
生きることは辛いもの
でも ひとりだけでも最後まで
愛してくれると思えたら
ロープを外す力が残ってるのに気づくよね
悔しいのは いつだって
価値の無い生き方だったと認めたくない
自分が自分を捨てられないことさ
臆病で どれほど吐き気がしてたって
人生を愛していると 言おうとしても
見るものの いない役者のようで もの足りない
最後の客席に
もしか私が いないとすれば
笑えもしない 涙も嘘だ
ほんとうの 私は
いつも 誰かに繋がりたいくせに
独りの好きな 普通の
ブンの 1 なのに
私の玩具
My
toy
それは 自らが造る
不足や不満を塗りこめて
いっとき 心を放したい楽園だったのに
そうして出来た人形がまさか 動いたら
とまどうばかりだろう
一緒に眺めた パパラチャの夕陽
身に付ける価値はたかが知れていると
話したことも なかったのに
何故か二人は 意味を知ってた
他人を殺す方が 楽だと分っても
果たして凶器を 向けられるの
弁当の塩ジャケや卵焼きに対して
私の玩具は 笑って 踊る
思い出してみて
不自由な左手が写るかい?
それを見たかい
The
god
あまりにも深く心を覗くと
命を運ぶ先が不安で
気の狂いそうな恐怖に見舞われるもの
捩れた果実が いくつも見える園には
親しみの風景に似せ過ぎて乾燥した
虚無の風だけが吹いていた
あまりにも深く愛を願うと
心は満たされぬ渇きに脅迫され続ける
滅ぶからこそ 汚濁を残さずに
と 謡いながら
復活を祈る あまたの幼子の
その小さき掌は
虚空を掻いているけれど
それ が映る瞳を併せ持っても いるもので
願う者には 何にもしてやれない
祈る者には 微熱をあげる
信じる者には 勇気を
全てを捨て去る者には 愛を示す
そのように存在する 抱擁という名の
それを見る人は稀で 幸せ
してあげるではなく
しなくちゃならないでもなく
自己以外を普通に称える人になったなら
それに代わる愛の生き方はないだろう
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