10月


山がそこにある
masaがそこにいる
そんな錯覚にいつも落ちる
山間を走る時
masaを
駈け抜ける

「何かしら 綺麗ごと 責む 烏瓜」

「孤り身を 責めての 宵に 柚子を喰ふ」

「秋逝く夜 迷い子真 似て 親尋ね」

「咳・熱に 弱気な心 地 レモン買ふ」

「五十余の 風に抗ふ 敗荷や」

「寄る歳に 螳螂の目も 迷いがち」

「吾知らず 屈みて見 たり 草の花」

「運の無い 男の背中 九月尽」


「この宵も 身に入む 酒よ 本を置く」

「宿無しの 夜寒に病 長引けり」

「熱あれば 母の掌恋 し そぞろ寒」

「コスモスを はしゃいで潜る 日もありき」 

「あら雪と 見まごうばかり 蕎麦の花」


「洗い場の 水掻きな がら 秋たける」

「秋祭り 今は厭しく 道を変え」

「節々の 痛くてならぬ 案山子かな」

「鵙鳴きて 40年を 振り返る」

「屋根越しに はや起こされし 柘榴かな」

「独り言 習いとなりぬ 軒の柿」

「散歩道 木の実を脇の 芝に置く」

「里道の 曲がりの先の 茸(たけ)の山」

「この年の 青に別れの 秋の雨」

「背伸びして また振り返る 秋桜」

「萩咲くも 手酌の夕べは 哀しかり」

「遠き日の 祖母なつかしき 蕎麦畠」

「電線を 揺れ残しまま 燕去る」

「霧雨の 紫式部を 抱きてをり」

「柊は好き クリスマスケーキの その記憶」

「哀しきは 謂れ無き身の きりぎりす」

「秋刀魚さえ 苦き昔日 抱きており」



9月目次11月

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